ティンバーランド
ティンバーランドは、ブーツやアウトドアグッズを中心とした、アメリカのカジュアルブランドです。
ティンバーランドのブーツは、もともとアウトドア用のものとして作られたブーツにもかかわらず、今ではヒップホップ系やストリート系ファッションには必須のアイテムになっています。
これは、1990年代のヒップホップシーンで、アーティストがしばしばティンバーランドのワークブーツを履いていたことから人気が出たようです。
ティンバーランドの歴史は、1918年、後にティンバーランドの創立者となるネイサン・シュワーツが、マサチューセッツ州ボストンの小さな靴屋でステッチを効かせたブーツを作ったことから始まります。
ネイサンは自分の手でレザーを裁断、縫製し、ソールを貼ることにより、精巧なレザーブーツの作り方を習得しました。
1952年、ネイサンはアビントン・シューカンパニーの権利の半分を手に入れ、3年後には残り半分の権利も買い、アビントン・シューカンパニーのオーナーとなり、息子たちを会社に迎えます。
10年ほど大手靴メーカーの下請けをした後、1965年、靴作りに射出成形を導入し、一番最初の防水レザーブーツが産まれます。
そして1973年、画期的な手法が用いられた完全防水のレザーブーツが誕生、『ティンバーランド』と名付けられます。
防水皮革を使用し縫製部分をシールドすることで強力な防水性を保つばかりでなく、靴そのものの劣化を気にせず快適に過ごせ、また足首部分やインソールに天然素材を使用し吸湿性も充分に考えられています。
通称『イエローブーツ』とも呼ばれるその靴は、ニューイングランド地方(ボストンを含むアメリカ合衆国北東部の6州を合わせた地方)の自然環境と向き合い、そこで働く人々の足元を快適かつ安全に守るために頑丈で耐久性に満ち、形も美しく、誇り高きクラフトマンシップに支えられた技術とともに、今では世界中で支持されています。
1978年、このブーツが大変に有名になったことから『ティンバーランド』が正式な会社名になり、手縫いのカジュアルシューズやボートシューズの製造も始めます。
80年代には実権が息子のシドニー・シュワーツへと移り、彼のリーダーシップの下、イタリアに進出、1985年には世界中に輸出され始めます。
1988年にはメンズ、レディスのウェアを、1989年には軽量で滑りにくい独自の『トレイルグリップ』を採用したハイキングブーツを発表、後に革製品、バッグ、帽子、サングラスなど、アウトドアアイテムに留まらず、シティカジュアルまで範囲を広げた様々なアイテムをラインナップに加えていきます。
創業者・ネイサン・シュワーツからの遺産でもある米北東部独特の誇り高きクラフトマンシップは、現在のティンバーランドにも確実に引き継がれています。
どんなアイテムであろうと、高品質の素材で機能性が追求できて、職人の技術が活かされるという条件を満たさない限り、ティンバーランドの商品として日の目を見ることはありません。
また、ティンバーランドは社会的な活動にも積極的に取り組んでいます。
1989年に、シティイヤー(アメリカの低所得で差別されるマイノリティーが住むエリアの公共サービスを子供、学生、もしくは社会人が、自分たちの仕事や学校の時間を利用して手伝うことを目的としたNPO)に50足のブーツを寄付したことから始まりました。
1998年に就任した現在のCEO、創立者の孫にあたるジェフリー・シュワーツは『ブーツをはいて社会を改革しよう』をキーワードに、自社の社員がその地域社会に対して年間40時間の社会貢献活動をするように有給休暇を設けています。
商品を作るうえでも、エネルギー効率を上げたり、使う水の量を減らすなどを数値目標を決めて行なったり、オンタリオの流通センターにはソーラーパネルを設置、使用電力の60%を生成しています。また、毎年行われる『アースデイ』にも、世界各国のティンバーランドの社員は積極的に関わっています。
これらはジェフリー・シュワーツの代になって突然始まったことではなく、「自分自身を発見し、理想を貫く強い意志を持つこと」というネイソン・シュワーツが残したシンプルな企業理念と、創業以来の企業のコンセプト『Make It Better』、これらの価値観の具現化の一つにすぎず、ものづくりだけに固執せずユーザや社会との関わりを深めていくことを、これからも追求していくでしょう。